吹抜けの効果
吹抜けとは、床の一部を抜いて2層以上の天井高さを確保した空間のことを意味します。
ここでは、吹抜けの長短所や諸々の効果について実例を挙げて解説します。
吹抜けの大きな長所としては、その開放感がなんといっても大きいと言えます。
天井が高く、気積の大きな空間は、面積以上に広さや開放感を感じることが出来ます。また、上下の階が物理的につながるので、視覚的、聴覚的なコミュニケーションが取りやすくなります。一般住宅では、各家族に個室を希望される要望が高い一方で、特にお子様の居場所や気配を常に感じられるようにしたい、という要望が多くあります。吹抜けを設けると、個室とリビングやキッチンが物理的につながる関係になるケースが多く、そうした点もメリットになります。
また、適切な位置に窓を開けることで、温度差を利用した通風を得ることも出来ます。
短所としては、上下階の温度差やエアコンの効率性の悪化等があげられます。上下の温度差は、ある程度出るものですが、天井扇や送風ファンを設置することで解消されます。また高気密高断熱仕様とした場合は、断熱グレードによるものの、上下階それぞれで設備機器の稼働が必要な温度差は出ないのが通常です。またエアコンを選定する際に、気積にあった規格のエアコンを設けるのが肝心となります。人がいるエリアにエアコンの送風が届くかどうかによっても体感温度が変わる為、エアコン等の空調機器の仕様、規格、配置について十分に検討しておく必要があります。要は温熱環境の短所については断熱の仕様や空調機器の仕様により解決可能と言えます。
ここからは具体的な事例をご紹介します。
木造2階建ての「みどりのK邸」では、半階づつ上がるスキップフロアになっており、スキップフロアを介してダイニングからリビングにかけて吹抜けとなっています。
半階部分からダイニングの吹抜けを見たところ。上階の小スペースは書斎になっています。
全体的にコンパクトな広さですが、吹抜けとなっていることで大きな気積が得られ、開放的な雰囲気になっています。
ダイニング側からリビング方向の吹抜けを見たところ。半階部分には和室があります。そして、和室の上下には小屋裏収納、床下収納がそれぞれあります、吹抜け部分の屋根を利用して小屋裏収納(ロフト)をつくる方法はよく使っています。このダイニングにある吹抜けにはキッチン、和室、リビング、書斎、寝室が面しており、家族間のコミュニケーションが取りやすい間取りになっていると言えます。
「阿佐ヶ谷ライト・エコハウス」では、2階のリビングと3階の個室をつなぐ吹抜けをつくっています。
リビングは階段と光庭にも面しており、3階の窓からの光と合わせて、様々な光の表情をつくり出しています。
3階の吹抜けに面した個室を見たところ。屋根の傾斜は北側斜線や道路斜線から決定されています。
「阿佐ヶ谷ライト・エコハウス」はHEAT20G2グレード相当の高気密高断熱住宅となっています。この高い断熱性能を見越して、この3階の個室にはエアコンを取り付けていません。お施主様によると、現在はテレワークのワークスペースとして使用されているそうですが、2階のリビングのエアコンを稼働させておけば、多少の寒暖差は感じるものの、3階にエアコン設置の必要性は感じないそうです。
また、高気密高断熱仕様で、エアコンの使用台数を少なくして省エネしたい場合は、家全体を一室空間とすることがひとつの方法として推奨されています。吹抜けは、そうした一室空間をつくる中心となる空間になるともいえます。
以上、吹抜けの効果について、実例をもとに解説しました。
吹抜けがあると開放的で気持ちが良く、コミュニケーションが活性化されるような空間が可能となります。加えて、採光・通風といった環境面でもメリットが大きいと言えます。
新築の戸建て住宅をお考えの際には是非ご検討ください。
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