家づくりに必要な打合せの回数は?
建築家と注文住宅を作る場合、完全にフルオーダーの一品生産になりますので、相対的に打合せの回数が多くなります。
打合せは回数が多ければ良いというものではありませんが、議論や確認を重ねた分、納得してから進めることが出来るので、最終的な満足度は高くなります。
この記事では、新築住宅の設計から竣工までの打合せの回数について、どのくらいが適切な回数なのか、実例をもとに検証してみました。
サンプルとしたのは、KHアーキテクツの近作である「府中エコ・コートハウス」です。
この住宅は二世帯住宅で、お施主様世帯と親御様世帯で個別に打合せする必要があった為、通常よりやや多い回数の打合せをしていますが、各段階における打合せは下記のような回数になりました。
事前相談:4回(うちオンライン1回)約1ヶ月
基本設計:11回(うちオンライン4回)約3ヶ月
実施設計:10回(うちオンライン3回、ショールーム見学3回)約4ヶ月
見積・契約交渉:5回(うちオンライン3回)約2ヶ月
工事:9回(うちオンライン2回)約8ヶ月
合計 39回(うちオンライン13回)約18ヶ月
上記のように、合計39回の打合せを行っています。
設計や工事の段階によって多寡があるものの、平均的には2週に1回の打合せを期間を通して行っていることになります。
このケースは二世帯住宅のため、通常よりもやや多い打合せ回数になっていますが、打合せ事項はほぼ変わらないので、通常の戸建て住宅においても同じくらいのペース、内容で打合せを行っています。
また、オンライン打合せも適宜行っていますが、図面やCGの他に模型や材料のサンプルも確認いただく必要があるため、対面の打合せの比重が高くなっています。
このケースを一般化すると、およそ35~40回程度のお打合せを1年半くらいの期間の中で行うのが標準的な回数、といえるかと思います。
打合せを何度も行うことで、納得の行く満足度の高い家づくりを行うことが出来ます。
また、各段階で主に下記のような内容を協議・確認し、設計と工事を進めてゆきます。
事前相談:
土地、建物、家族構成やファイナンス・プラン等の基本条件、ご要望の確認をします。初回ボリュームスタディの提案や設計監理料の協議が中心になります。
基本設計:
基本プラン、デザインのスタディ段階です。スタディ案をマイナーチェンジも含めておおよそ20案程度を提案しながら案を決定してゆきます。
実施設計:
最終決定した計画案をもとに、仕上材、水廻り、照明、空調等の仕様を決める段階です。この段階で、ショールームを訪問して仕上材のサンプルを確認したり、キッチンや水廻りも実物を確認して仕様を決めてゆきます。
見積・契約交渉:
実施設計で作成した図面をもとに、工務店に見積を依頼します。同時に審査機関に確認申請を提出します。見積が出た段階で、内容を査定し、金額交渉を経た上で、工事契約します。
工事:
敷地に家の形状を示す縄張りをするところから工事が始まります。設計図書に準じて工事は進められるので、工事初期段階でお施主様に確認すべき事項は無いのですが、基礎や上棟時に進捗を確認いただくケースが多いです。竣工が近づき、仕上げ工事の段階に入ると、塗装の品番等、細かな仕上げで未決箇所の品番を確定させます。また、法的に変更可能な範囲での追加工事の調整も行います。更に、カーテンやロールスクリーン、家具等の工事契約に含まれていない別途発注の調整し、引き渡し時の検査や登記手続き等の調整を最終的に行います。
上記のように、各段階において決めなければならないことは数多くあります。
しかし、ハウスメーカーさんや工務店さんによっては打合せ回数を制限していることもあります。
これは、打合せの回数が多くなると人件費をはじめとする経費がかかるためですが、選択可能なオプションがセミオーダー式で当初から限定されており、打合せをする必要性が低い為、ともいえます。
建築家の立場からすると、デザインの自由度が高く、希望を実現できるのが注文住宅の醍醐味であり、その部分に制限を設けてしまうのはもったいない気もしますが、ご多忙な方にとってはセミオーダー式の方が合理的といえます。
一方で建築家との家づくりは、すべてのプロセスを丁寧に行う分、時間や手間がかかるのも事実です。
ぞれぞれに一長一短がありますが、家づくりの進め方や時間のかけ方についても十分ご理解いただいた上で、ご依頼先をご検討いただければと思います。
こちらの写真は、基本設計時の打合せのテーブルの様子です。
図面を見ながら議論し、時にスケッチを書き、お茶とお菓子を頂きながらの休憩をし、時に雑談で脱線しつつ、毎回2、3時間くらいの楽しいお打合せをさせていただきました。
KHアーキテクツでは、丁寧なプロセスをベースに、お施主様と協働する形式で家づくりをしております。
もしご興味ありましたら、お気軽にお問合せください。
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