古材を活かす、リノベーションの愉しみ
リノベーションにおいて、既存部分の建材をそのまま活かすことは、新築には出来ない大きな魅力のひとつです。
例えば、木の古材の風合いは新しい木材に無い、経年変化を経た味わい深い質感があり、そうした建材を活用することでリノベーション固有のデザイン・クリエーションを愉しむことが出来ます。
この記事では、古材を活かしたリノベーションの実例を参照しながら、その愉しさの一端をご紹介したいと思います。
「三鷹K邸 リノベーション」は、築40年弱の戸建住宅の改修です。
内装を全面的に解体し、スケルトン状態に戻し、耐震改修をした上でのリノベーションです。
写真は、内装の解体後の2階から屋根架構を見たところ。
この段階で写真に見られるような丸太材の梁が入っているのがわかり、急遽天井の形状を変更して古い梁を活かすようにしました。
現在では、あらかじめ規格化されたプレカット材を使用することがほとんどなので、意図的に使用しない限り、こうした丸太材を使用することはありません。
その意味で、古い家ならではの建材といえますが、当初予期していなかった建材を活かすこともリノベーションの醍醐味のひとつといえます。
改修後の2階・ファミリーライブラリー。
設計段階では平坦な天井でしたが、解体が完了した時点でお施主様と相談し、梁の見える傾斜天井にしました。
天井が高くなることで開放感が出て、古材の梁と柱が印象的な空間になりました。
別の角度から見たところ。
梁と柱の古材の風合いを活かしつつ、全体的に木の質感・ぬくもりが感じられるようにしています。
こちらの写真は、1階の和室の様子。
柱は古材をそのまま再利用し、その他の部分は新調しています。
柱にある節やほぞ、背割りの跡が、新築には無い風合いを出しながら、改修部分とも違和感なく馴染むように全体のバランスを見ながら素材を選定し、デザインしています。
リノベーションの愉しみ・面白みのひとつは、現況確認や解体してからでないとわからない部分が色々と出てくることです。
そして、そうした予期していなかった部分を柔軟に取り込んで、よりよいものにリファインしてゆくのが、リノベーションの醍醐味といえます。
こうした設計や工事の途中での変更は、一番初めに工事価格が決定され契約内容が固定されるハウスメーカー・工務店ではなかなか対応が難しいかもしれませんが、プロセスの進捗に応じて柔軟に変更対応できる点が建築家ならでは、といえるかもしれません。
KHアーキテクツでも古材を活かし、愉しむようなリノベーションを多く手掛けています。
もしご興味ございましたら、お気軽にお問合せください。
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